救急医療について 中日新聞 2008年1月8日 エステ店や診療所を全国に展開する東京の「メディカルサロン」グループの代表風本真吾容疑者(44)らによる医師法違反事件で、医師が一度も診察せずに、無資格の店長が肥満治療用の向精神薬「マジンドール」を処方したケースがあることが8日、大阪地検公安部の調べで分かった。 風本容疑者は調べに「従業員を通じて渡したのは間違いないが、医師として診断し適切に処方した」と容疑を否認しているというが、公安部は「やせたい」などという客の求めに応じて、素人判断で処方していた実態があるとみて追及する。 これまでの調べでは、グループ傘下のエステ店や診療所で計10人程度の医師がいたといい、初回は医師の診察を受けた上で処方、2回目以降は店長らスタッフが体調や副作用の有無を尋ねて渡していたとみられていた。 向精神薬「マジンドール」を巡り、医師法違反容疑で逮捕された風本(かぜもと)真吾容疑者(44)が代表を務める「メディカルサロン」グループと同様に、「ダイエット効果がある」と宣伝している医療機関が、全国で100カ所以上に上ることが毎日新聞の調べで分かった。マジンドールの処方は高度肥満症の患者に限定されており、ダイエット目的は国の承認する用法を逸脱する可能性が高い。副作用がある薬を安易に処方する傾向が全国に広まっていることが明らかになった。 毎日新聞が全国の医療機関のホームページを調べたところ、少なくとも北海道から九州までの108施設が、ダイエットに効果がある薬としてマジンドールを紹介。美容整形や美容外科、皮膚科が大半で、施設のほとんどが健康保険を使わない自由診療だった。薬価は1錠212円50銭だが、これらの施設では1錠1000円前後の高値で処方され、中には1錠3150円もする施設もあった。 毎日新聞の取材に対し、東京都内の美容外科の院長は「若い女性が『マジンドールをください』と来れば、やせ気味の人でも出す。副作用もきちんと説明しているし、治療の選択の自由が制限されるのはおかしい」と話した。福岡市内のクリニックの事務長も「自由診療ならば適応症でない患者に処方しても問題ないと判断している」と説明した。 風本医師は92年に製造承認された直後から「マジンドールダイエット」として宣伝し、グループの店舗を次々と拡大した。風本医師の成功で、他の医療機関にも同様のダイエット医療が広がったとみられる。 国が承認する用法では、食事療法と運動療法でも効果がなく、BMI(体格指数)35以上の高度肥満症の患者が対象。製造販売元の「ノバルティスファーマ」(東京都港区)はダイエット目的などの不適切な使用が後を絶たないとして、98年から毎年、文書で医療機関に注意を呼びかけてきた。 96年に約500万錠だった販売実績は06年に約340万錠まで減少。しかし、同社が国報告した分だけでも、調査症例の約2割の1721人におう吐やめまい、睡眠障害などの副作用があった。同社は「不適切な処方が副作用被害を招いているのは間違いなく、さらに適正使用を促す必要がある」としている。 一方、厚生労働省は「医師には処方権があり、たとえ適応症でないような人に処方しても、その医師が必要と診断した以上、違法と指摘するのは難しい。ホームページでダイエット薬として推奨しても、行政指導できるのは販売目的など悪質なケースだけだ」(医薬食品局)と話している。【精神医療取材班】 ◇解説…現行制度の限界、医師自ら襟正せ 今回の事件は、向精神薬「リタリン」を巡る問題と同様に、医師によるずさんな処方が後を絶たない実態を浮き彫りにした。しかし一方で、医師が用法を逸脱し、適応症のない患者に安易に処方した場合でも医師の「処方権」が壁となり、処方行為自体を規制したり、刑事罰を科すことが困難だという現行制度の限界を示した。 大阪地検が逮捕に踏み切ったのは、専門知識を持つ医師が知識のない患者に対し、健康被害を及ぼす可能性がある薬を簡単に処方した行為を極めて悪質と見たためだ。しかし処方権を考慮し、無資格者に処方させていた医師法違反(無資格医業)容疑を適用する形となった。07年警視庁がリタリンの処方で摘発した2件のケースでも同じ容疑だった。 向精神薬を巡って摘発された3人の医師以外にも、用法を逸脱した処方を繰り返す医師の存在が毎日新聞の調べで明らかになっている。これらの事件は氷山の一角に過ぎない。捜査任せにせず、医療界が自ら不正を排除する仕組みが求められている。【精神医療取材班】 ◇「カルテに医師の指示」…風本容疑者 風本真吾容疑者は昨年12月27日、東京都新宿区の四谷メディカルサロンで約1時間にわたって毎日新聞のインタビューに応じた。主な一問一答は次の通り。 --マジンドールダイエットを始めたきっかけは。 ◆やせられないと悩む人の多くが、あまり食べていないのに太ると思い込んでいた。実際は食べ過ぎが原因で、それを理解してもらうには、マジンドールの早期・短期利用が一番いいと分かった。 --高度肥満でない人にも処方しているのでは。 ◆自由診療なので、そこそこの肥満体質であれば問題ない。 --医師の資格のない職員に処方させた疑いが出ているが。 ◆ありえない。カルテに書いてある医師の指示を看護師やスタッフが実行しているだけだ。 --それは無診察ではないか。 ◆ならない。そうであればすでに逮捕されている。【精神医療取材班】 毎日新聞 2008年1月9日 2時30分
患者さんの求めに応じて何度も「リタリン」を大量に処方したり、今回の医師のように医師の診察なしで処方せん薬を「用法」や「使用上の注意」を無視した処方、無資格者に処方させるのは「法律違反」です。
処方薬である限り、処方する側に責任はあります。法律を無視して、ひたすらお金儲けに奔走する「醜い姿」をさらけ出しています。
実際に「LiveDoor」社や「村上ファンド」などITバブルやヒルズ族といった「お金儲け」が上手な人は必ず、あとでしっぺ返しを食らっています。法や常識を逸脱した「利益至上主義」は必ず足元を救われる実例でしょう。
このクリニックのホームページを見てみましょう。

完全自由診療をうたっているなど、医師としてビジネス(?)には成功は確かにしているようです。しかし、日本国民である限り、法を逸脱した時は「取り締まり」を受けるのは国民の義務です。
患者さんにとって、薬を求めれば、すぐに出してくれる医師やクリニックは便利かもしれません、しかし、副作用がまったくない薬はなく(マジンドールとて例外なく副作用あり)、またその症状によっては別の生活指導、その他の手段で症状の改善の余地、または薬を加減する必要もあると思います。したがって、「診察なし」というのは患者さんに危険性をゆだねてしまうことになりかねません。
そろそろ、患者さんに求められれば・・・「誰にでもすぐに薬を出す」という日本の医療はそろそろ終わるべき時代でしょう。さまざまな薬の副作用や無駄な投薬は医療の問題ではなく、国の保険財政の問題につながっています。
自分としては、「診察なしの処方」は見過ごせません。もちろん、お薬を処方で医師にお金がもらえる古い医療制度は見直しがされています(実際に今はお薬の種類が増えても診療報酬という名の治療費の支払い額は一切増えません)。
医療のプロフェッショナルとしては、「違法行為」「不法行為」はやはり見逃されない時代です。そろそろ医師も自らを律する時代へと入ったのだとを感じます。というか、「処方していた医師が太ってる」こと自体、ダイエット治療に説得力がないぞ!って突っ込みがありましたね。
ぽち→
素人判断で肥満治療薬 医師、一度も診察せず
無資格処方関連・逮捕の風本容疑者に、1問1答
産経イザ! 2008/01/08
風本真吾容疑者は健康管理に詳しい医師として知られ、著書やテレビの健康生活情報番組への出演を通じてダイエット指導の「第1人者」をアピール。自身のホームページで向精神病薬「マジンドール」について「てっとり早くヤセる」と宣伝していた。逮捕前には複数回、産経新聞の取材に応じ、持論を述べた。主なやりとりは次の通り。
--資格のない人が薬の処方をしたのか
「医師免許のない店長が患者の『指導』はしているが、その後に医師の診療を受けている。店長に薬の処方をすべて任していたのではない」
--六本木のサロン店長に処方・販売の指示や命令をしたことは
「私から指示、命令した事実はない」
--医師以外の人が患者を診療したことは
「病気になった人に対しては診断、診察というが、病気になっていない人に対しては『指導』という。それを診療ととらえて医師しかできないものなのか。疑問だ」
--医師が電話やファクスで診断したことは
「最初の1回目は必ず医師が対面診断している。それ以後、日程や都合がどうしても合わない場合、患者さんの利便を考えると電話などの手法もやっていかなくてはならないのでは。それが診療でないなら当局との見解の相違だ」
--副作用などで患者から苦情がきたことは
「あるわけがない。私はきちんと患者さんを管理している。副作用ばかりいわれるが、優れた作用があることをご存じないのでは」
--捜査に対して
「この捜査は法律解釈の問題に過ぎない。私がやっていることが(法律より)先に進みすぎた。真実に従って堂々と戦っていく」
向精神薬:マジンドールにダイエット効果…用法外PR横行
毎日新聞 2008年1月9日
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